① 最新のAGIテスト、主要AIモデルが苦戦
Arc Prize Foundation(アーク賞財団)が開発した新しいAGI(汎用人工知能)テストで、最新のAIモデルたちが人間に大きく劣る成績を出しました。このテスト「ARC-AGI-2」は非常に難しく、人間の平均正解率は約60%でした。しかし、OpenAI(オープンAI)やAnthropic(アンソロピック)、Google(グーグル)などの最先端AIモデルは正解率が0~1%程度とほぼ答えられませんでした。これは現在の生成AIや大規模言語モデルが、人間のような汎用的な知能にはまだ達していないことを示しています。この発表により、AI研究者たちはAIの推論力や問題解決能力をさらに高める必要性を感じています。
https://www.eweek.com/news/ai-benchmark-arc-agi-2/
② 韓国AIチップ企業、Metaの800億円買収提案を拒否
韓国発のAIチップスタートアップ「FuriosaAI(フリオーサAI)」が、米Meta(メタ社、旧Facebook)からの約8億ドル(約1,000億円)の買収提案を断りました。地元メディアの報道によると、破談の理由は価格ではなく、買収後の事業戦略や組織体制への意見の相違でした。Metaは、大規模言語モデルの開発に必要な半導体でNVIDIAへの依存を減らすため、自社開発のAIチップに力を入れており、有望なチップ企業の買収を模索していました。一方、2017年創業のFuriosaAIは自社開発のAIチップ「Warboy」と「Renegade(RNGD)」を持ち、LGのAI研究所などと連携試験を行っています。FuriosaAIは現在約4,800万ドルの追加資金調達を計画中で、独自路線での成長を選択した形です。
③ 中国DeepSeek、AI言語モデルの大型アップグレード発表
中国のAIスタートアップ「DeepSeek(ディープシーク)」が、大型言語モデル「V3」の大幅アップグレード版「DeepSeek-V3-0324」を発表しました。この新モデルは、前世代と比べて推論力やコーディング能力が大きく向上しており、Hugging FaceというAI開発プラットフォーム上で公開されています。ベンチマークテストでも技術指標の改善が確認され、OpenAIやAnthropicなど米国のリーダー企業に対抗する動きが一段と強まりました。DeepSeekは近月、低コストで性能の高いモデルを次々と公開し、急速に国際的な存在感を高めています。今回のアップグレードもその一環であり、中国発AIの競争力向上が注目されています。
④ Google、最も高度なAIモデル「Gemini 2.5」を公開
米Google(グーグル)は新世代のAIモデル「Gemini 2.5」を発表しました。これは同社が「これまでで最も知能が高いAIモデル」と位置付ける最新版で、質問に答える前に一度「考える(推論する)」能力を持つのが特徴です。テキストや画像、音声、コードなど様々な形式の情報を理解・生成でき、与えられた指示から簡単なゲームやアプリを作ることも可能とされています。Googleによれば、Gemini 2.5は競合のOpenAIやAnthropic、Elon MuskのxAI(エックスAI)などが提供する同種の推論型AIモデルよりも多くのベンチマークで優れているとのことです。Gemini 2.5は、同社の開発者向けプラットフォーム「Google AI Studio」や有料サービス「Gemini Advanced」で利用でき、企業向けの応用も期待されています。
⑤ ChatGPTが画像生成機能を大幅アップグレード
対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」が、ユーザーの指示から画像を作り出す画像生成機能を大きく強化しました。OpenAI社は3月25日、これまで画像生成に使っていた「DALL-E 3」に代えて、自社の高度なマルチモーダルモデル「GPT-4o」をChatGPTに統合したと発表しました。これにより、チャットでのやり取りから直接より正確で詳細な画像を生成できるようになりました。例えば文字を含む看板や複雑な構図の写真でも、前より自然で一貫性のある描写が可能です。また、既存の画像を編集(インペイント)したり、写真内の人物や物体を差し替えたりすることもできるようになっています。この新機能はまず有料プランのユーザーに提供され、順次無料ユーザーにも広げる予定です。
https://lifehacker.com/tech/chatgpt-got-image-generation-upgade
⑥ ChatGPTの新画像機能、無料ユーザーへの提供を延期
OpenAI社のChatGPTに追加されたばかりの画像生成機能ですが、想定以上の人気により無料ユーザーへの開放が遅れることになりました。Sam Altman(サム・アルトマン)CEOは3月26日に自身のSNSで、「画像機能は我々の予想以上に人気で、無料プランへのロールアウト(提供開始)は残念ながらしばらく遅れる」と述べています。ChatGPTの画像生成機能は前日に有料ユーザー向けに公開されたばかりでしたが、アクセスが殺到したため無料版への展開を一時見合わせる形となりました。現在この機能を利用できるのはChatGPTの有料プラン(PlusやPro、Teamsなど)のみで、OpenAI社は計算資源の増強など対応を進めた上で、改めて無料ユーザーへの提供を開始するとみられます。
https://www.theverge.com/news/636948/openai-chatgpt-image-generation-gpt-4o
⑦ Amazon、趣味に合わせた商品提案AI「Interests」を導入
米Amazon.com(アマゾン)はショッピング体験向上のため、ユーザーの興味や趣味に合わせて商品を提案するAI機能「Interests」を発表しました。利用者は日常の言葉で検索バーに好きなものや予算などを入力できます。例えば「コーヒー好きのための器具」や「模型作りエンジニア向けキット」のようにリクエストすれば、AIがその内容を理解して関連する商品を探し出し、通常の検索よりも的確なおすすめリストを表示します。このAIは大規模言語モデル(LLM)を活用しており、入力された自然な文章を通販サイトの検索クエリに変換する仕組みです。さらに、バックグラウンドで常に動作し、新しい関連商品や在庫の復活、セール情報などがあればユーザーに通知します。現在は米国の一部ユーザーが試用でき、今後数か月で対象を拡大する予定です。
⑧ OpenAI、400億ドル調達へ年内に営利企業へ移行必要
ChatGPT開発元の米OpenAI(オープンAI)が、年内にも組織形態を非営利から営利企業に転換する必要に迫られていると報じられました。これは現在交渉中のソフトバンク主導の最大400億ドル(約5兆円)の大型出資を全額受け取る条件として提示されたものです。ソフトバンク側は、もしOpenAIが期限までに営利企業への再編を完了できなければ、出資額を半額の200億ドルに縮小できる条項を設けています。OpenAIは昨年にも投資家から2年以内の営利化を求められており、今回はその計画が一層前倒しされる形です。最先端のAIモデル開発には莫大な資金が必要なため、OpenAIは安定した収益確保と資金調達を両立させる企業体制への転換を迫られています。
⑨ EU、AIやサイバーセキュリティに13億ユーロ投資へ
欧州連合(EU)は2025~2027年にかけて、人工知能(AI)やサイバーセキュリティ、デジタル人材育成分野に計13億ユーロ(約1,900億円)を投資する計画を発表しました。これはEUの「デジタルヨーロッパ計画(Digital Europe Programme)」の一環で、先端技術の開発と人材のデジタルスキル向上を支援するものです。具体的には、医療機関や海底ケーブルといった重要インフラのサイバー防御強化や、AIを活用したプロジェクト、データセキュリティ教育などに資金が配分されます。EUのデジタル政策担当者は「ヨーロッパの技術的主権を確保するには高度技術への投資と人々のデジタル能力向上が重要だ」と述べており、米中に対抗し欧州独自の技術力を高める狙いがあります。
https://www.scworld.com/news/eu-plans-13-billion-to-boost-continents-cybersecurity-ai-skills
⑩イーロン・マスクのxAI、SNS「X」を電撃買収
米実業家イーロン・マスク氏が率いるAI企業xAIが、マスク氏自身が所有するSNSプラットフォーム「X(旧称Twitter)」を買収すると発表しました。買収は株式交換によるもので、X社の評価額は約330億ドル(負債120億ドル込み)、xAI側の評価額は約800億ドルとされています。マスク氏は「xAIの高度なAI技術とXの巨大なユーザー基盤を組み合わせることで、莫大な可能性が開花する」と述べ、AIとSNSの融合による新サービス創出に意欲を示しました。また、この取引についてX社CEOのリンダ・ヤカリーノ氏も「未来は今までになく明るい」とコメントしています。マスク氏は2022年に440億ドルでTwitter(現X)を買収しており、それ以来データをxAIのAIチャットボットGrokに活用するなど両社の連携を進めてきました。今回の統合で、SNSと生成AIを掛け合わせた革新的な展開が期待されています。
https://www.theverge.com/news/638933/elon-musk-x-xai-acquisition
編集者コメント
最新のAGIテストにAIが苦戦してるという記事を見て、実際のテストを確認してみたのですが、少し時間はかかりそうなものの簡単に解けそうな問題でした。
https://arcprize.org/blog/announcing-arc-agi-2-and-arc-prize-2025
解く前に解読(ルール決め)が必要なパズルゲームですね。
ChatGPT Proを使ってると、とっくに自分より何百倍も賢くてなんでもできてしまうと思っちゃうのですが(実際そう)、、、さらに賢くなっちゃうんですね。