① OpenAI、NVIDIA出資のCoreWeave社と約1.3兆円のAI基盤契約
OpenAI社は、NVIDIA(エヌビディア)社が出資する米スタートアップのCoreWeave社と、約119億ドル(約1.3兆円)規模の契約を結びました。今後5年間、OpenAIの生成AIモデル運用に必要な大規模なクラウドインフラ(インターネット上の計算基盤)をCoreWeave社が提供します。この契約の一環として、OpenAIはCoreWeave社に対し約3.5億ドル相当の出資も行います。
② OpenAI、AIエージェント開発向け新ツール群を公開
OpenAI社は、AIエージェント(自律的に動作するAIプログラム)の開発を容易にする新しいAPI(外部から機能を利用する仕組み)やSDK(ソフトウェア開発キット)を公開しました。ウェブ検索やファイル検索などの機能が組み込まれ、複数のエージェントを連携させることも簡単になります。従来の開発者向けAPIも引き続きサポートされますが、将来的には新APIに統合していく予定です。
③ Google、単一GPUで動作するマルチモーダルAIモデル「Gemma 3」発表
Googleは小型かつ高性能なオープンAIモデル「Gemma 3(ジェンマ3)」を発表しました。テキストだけでなく画像や短い動画も解析でき、単一のGPU(Graphics Processing Unit、画像処理装置)で動作するモデルながら、同規模の他モデルより高い性能を持つとしています。高解像度の画像処理にも対応し、不適切なコンテンツを排除するフィルタリング機能も備えています。開発者向けにはクラウド上での提供や、研究者向けクレジット支援プログラムも用意されています。
https://www.extremetech.com/computing/google-announces-gemma-3-worlds-best-single-accelerator-model
④ OpenAI、米国にAI学習の「フェアユース」明文化を提言
OpenAI社は米政府に対し、著作権で保護されたデータでもAIモデルの学習に利用できるよう、「フェアユース(公正利用)」の原則を法律で明確化するよう提言しました。著作権者からの反発や訴訟が起きる中でも、インターネット上の公開データを幅広くAI訓練に使える環境が、米国におけるAI研究の発展と投資呼び込みの原動力になっていると強調しています。
⑤ 高精度AI音声アシスタント開発のSesame社、基盤モデルをオープンソース化
人の話し方の細かな癖(間の取り方や抑揚など)を敢えて取り入れた高精度AI音声アシスタント「Maya」を開発する米スタートアップのSesame社は、その基盤となるAI音声モデル「CSM-1B」(パラメータ数10億)をApache 2.0ライセンスでオープンソース公開しました。1分程度の肉声サンプルから話者の声質を学習して模倣できる高度なモデルで、商用利用も可能です。同社は開発者や利用者に対し、この技術の悪用(許可のない音声クローンや誤解を招くコンテンツ作成など)を控えるよう指針も示しています。
⑥ ライセンス済み画像データ活用の生成AI企業Bria社、シリーズBで約53億円を調達
商用ライセンス済みの画像データのみを使って生成AI(画像自動生成AI)モデルを開発する米スタートアップのBria社は、シリーズBラウンド(ベンチャー第2段階の資金調達)で4,000万ドル(約53億円)を調達しました。テキストから鮮明な画像を生成するAIが人気を集める中、無断転載データで訓練したモデルでは著作権侵害の恐れが指摘されています。Bria社は初めから権利許諾済みのコンテンツだけを使うことで、企業が安心して使える画像生成AIプラットフォームを提供することを目指しています。
⑦ AP通信、生成AIの限定活用を認める新指針を策定
世界的な通信社AP(エイピー、Associated Press)は、自社のニュース制作に生成AIの活用を一部容認する編集ガイドラインを更新しました。具体的には、英語記事をAIでスペイン語翻訳する試みや、記事本文から要約文を自動生成する仕組み、一部記事での見出し提案などを導入します。ただし、いずれの場合も必ずAPの記者や編集者が内容をチェックしてから公開するとしています。正確性や公平性といった報道の基本原則を守りつつ、生産性向上にAIを役立てる狙いです。
https://www.ap.org/the-definitive-source/behind-the-news/updates-to-generative-ai-standards/
⑧ OpenAI営利化巡るマスク氏の訴訟、米裁判所が迅速な審理を決定
OpenAI社が非営利団体から営利企業へ転換したことを巡り、共同創業者のイーロン・マスク氏がサム・アルトマンCEOらを相手取って起こした訴訟について、米裁判所は秋までに迅速な審理を行うことを決定しました。マスク氏はOpenAIが「人類のための安全なAI開発」という当初の目的から逸脱し、利益優先の路線に走ったと批判しています。一方、OpenAI側は営利化は莫大な開発資金を確保し競争力を維持するために必要だったと反論しています。
⑨ 史上最大規模の生物学向けAIモデル「Evo 2」が登場
スタンフォード大学などの研究チームは、生物学分野で画期的な生成AIモデル「Evo 2」を開発しました。人間や植物、微生物など10万種以上の生物のDNA配列データで訓練されたモデルで、遺伝子の配列からタンパク質の形状や機能を高い精度で予測できます。新薬候補の分子を見つけ出したり、何年もかかる実験をシミュレーションで短時間に実行したりすることが可能になり、バイオ医薬品の研究開発スピードを大幅に高めると期待されています。
https://www.synbiobeta.com/read/evo2-one-bio-ai-model-to-rule-them-all
⑩ 中国のManus、DeepSeekに続き米国のAI優位に挑戦
中国の新興企業が汎用AIエージェント「Manus(マヌス)」の試用版を公開。履歴書選別や旅行日程作成、株分析まで指示一つで自動処理し、一部でOpenAIの同種エージェントを上回る性能とされています。自律性の高さからプロモ動画が拡散し、限定公開の招待コードが争奪戦となる盛り上がりを見せています。
編集者コメント
Googleのリリースが相次いでいます。Gemma、GeiminiRobotics、Gemini Flash・・・
ようやく本気出してきたなぁという印象ですが、まだまだまだまだGoogleの攻勢が続くでしょう。
そして先週はなんといっても中国発の「Manus」でしょう。久々に界隈が沸きました。
招待制ツールなので、ニュースリリース時点では使ってる人が少なすぎて「資金調達のための詐欺では?」なんて声も多かったのですが、続々と招待コードを受け取って使い始める人が増え、どうやら本物だ。。となっています。
ちなみに命令すればある程度なんでもやってくれるAIなんですが、変なことに使われたりしたら・・みたいな不安が大きすぎて、ついにその時が来てしまったか。。感も大きいです。