海外AIニュースまとめ(2/17〜23)

atmaLab編集者
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February 24, 2025
海外AIニュースまとめ(2/17〜23)
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① ニューヨーク・タイムズ、社内向けAIツールを本格導入

米紙ニューヨーク・タイムズは、社内で生成AIなどのツール活用を本格化する方針を明らかにしました。記事の要約に使う社内AIツール「Echo」を導入し、記者にSNS投稿文やSEO(検索エンジン最適化)向け見出しの作成、簡易なプログラミングなどでAIを活用する訓練を提供します。編集部のガイドラインも改定され、生成AIを取材やアイデア出しに積極活用しつつ、記事全文の執筆や機密情報の入力には使わないなど運用ルールを定めています。

https://www.semafor.com/article/02/16/2025/new-york-times-goes-all-in-on-internal-ai-tools

② OpenAI、GPT-4.5のリリースを見送りGPT-5開発に集中

OpenAIは最新モデルのロードマップを発表し、GPT-4の小改良版「GPT-4.5」のリリースを見送り、次世代モデル「GPT-5」の開発に集中すると明らかにしました。GPT-5では音声合成や検索機能、高度な自己推論能力など複数の機能を単一のAIに統合した「統合知能」モデルを目指しており、ユーザーがモデルを選択せずにAIを利用できるシンプルな体験を提供する計画です。

https://www.infoq.com/news/2025/02/openai-new-gpts/

③ イーロン・マスクのxAI、最新チャットボット「Grok 3」を発表

イーロン・マスク氏の新興企業xAIは、高度なAIチャットボット「Grok 3」を発表しました。初期テストでOpenAIのChatGPTや中国・DeepSeekのモデルを上回る性能を示したと主張しており、数学やプログラミングなど複雑な問題を解く推論力が強化されています。xAIはまたAI検索エンジン「Deep Search」や音声アシスタント機能も併せて公開し、生成AI分野での競争が一段と激化しています。

https://www.theguardian.com/technology/2025/feb/18/elon-musk-grok-3-ai-chatbot

④ Google、AI「共同研究者」を開発し科学研究を支援

Googleは研究者と協働する新しい「AI共同研究者」ツールを開発しました。スタンフォード大学やインペリアル・カレッジ・ロンドンでテストされたこのAIシステムは、膨大な科学文献を分析して新たな仮説を生成する高度な推論能力を備えています。バイオ医療分野の研究者が膨大な情報を整理し発見を加速することを狙ったもので、AI技術が科学研究の効率を大きく向上させる可能性を示す事例として注目されています。

https://www.reuters.com/technology/artificial-intelligence/google-develops-ai-co-scientist-aid-researchers-2025-02-19/

⑤ 中東のAIスタートアップ「AppliedAI」、過去最大級の資金調達

アブダビ発のAIスタートアップ「AppliedAI」がシリーズAで5,500万ドル(約75億円)を調達し、中東地域の初期投資ラウンドとしては過去最大級となりました。主導したのはUAE政府系のAI企業G42で、米国のPalantir社やベセマー・ベンチャーズなども出資に参加しています。AppliedAIは人間とAIを組み合わせて医療保険の請求処理など煩雑な事務作業を自動化するサービスを提供しており、今回の資金調達により企業評価額は3億ドル規模に達しました。

https://www.forbes.com/sites/iainmartin/2025/02/10/ai-startup-raises-one-of-the-biggest-series-a-rounds-ever-for-middle-eastern-company/

⑥ AI企業「Together AI」、評価額3.3億ドルで資金調達

米スタートアップのTogether AIは3億05百万ドル(約420億円)の資金調達を実施し、評価額が33億ドル(約4,400億円)に達しました。ジェネラル・カタリストなど有力VCやサウジアラビアのファンドが主導し、Salesforce VenturesやNvidiaなども出資に参加しています。Together AIは多数のオープンソースAIモデルと必要な計算リソースを企業向けに統合提供するプラットフォームを展開しており、急増する企業のAI需要を背景に年間収益が前年の3倍以上に成長したとされています。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-02-20/startup-together-ai-valued-at-us33-billion-as-ai-demand-grows

⑦ HP、AIハードウェア企業Humaneを1.16億ドルで買収

シリコンバレーの注目AIハードウェア企業Humaneが、米HP社に1億1600万ドル(約160億円)で一部買収されました。Humaneは小型AI端末「AI Pin」で脚光を浴びましたが販売不振が続いており、買収後は端末開発チームの多くが解雇される一方、ソフトウェア担当の人材にはHPの新設AI部門「HP IQ」で高額給与が提示されました。HPはHumane共同創業者と独自のAIオペレーティングシステム「CosmOS」も迎え入れ、今後、自社製品へのAI統合を加速する計画です。

https://techcrunch.com/2025/02/20/inside-the-humane-acquisition-hp-offers-big-raises-to-some-others-immediately-laid-off/

⑧ OpenAIのユーザー数4億人突破、中国勢も台頭

OpenAIは対話型AI「ChatGPT」の週次アクティブユーザー数が4億人に達したと発表しました。これは昨年12月時点より33%増加した数字で、企業向け利用者も200万に倍増するなど利用が急拡大しています。同時に、中国の新興AIチャットボット「DeepSeek」が公開から20日で1,000万人の利用者を獲得するなど競争も激化しています。OpenAIのサービスは依然市場の約6割を占めていますが、競合台頭により成長ペースはやや鈍化しつつあると報じられています。

https://www.cnbc.com/2025/02/20/openai-tops-400-million-users-despite-deepseeks-emergence.html

⑨ AIの「暗記頼み」の弱点をスペイン研究チームが発見

スペインの研究チームが、AIがテストで高得点を取る手法とその弱点を解明しました。彼らは選択式問題の正解肢を「他のどれでもない」という選択肢に置き換えるテストを考案し、これによって主要な大規模言語モデルの正答率が平均で50%以上低下することを確認しました。このシンプルな変更により、AIモデルが問題を丸暗記に頼って回答している実態が浮き彫りになり、現在の生成AIが真の意味で理解・推論していない可能性を示す結果となりました。

https://english.elpais.com/technology/2025-02-20/spanish-researchers-discover-the-trick-ai-uses-to-get-such-good-grades-its-true-kryptonite-for-the-models.html

⑩ 各国政府、AI安全規制から緩和へシフト

各国政府のAI規制に対する姿勢に変化が見られます。英国政府は先週「AI安全保障研究所」(旧称:AI安全研究所)への改組を発表し、安全性よりセキュリティに重点を移す方針を示しました。米国ではトランプ政権が連邦標準化機関NIST内のAI安全研究所を事実上廃止する計画と報じられています。さらにEU(欧州連合)はAIによる被害の企業責任を問いやすくする新規制案を撤回し、競争促進のために規制を緩和する姿勢に転じました。全体として各国で「安全懸念よりイノベーション優先」へとかじを切る動きが強まっていると指摘されています。

https://www.emergingtechbrew.com/stories/2025/02/20/us-eu-ai-safety-policies

編集者コメント

まず、⑦のHumaneのAI Pinについて触れておきましょう。
HumaneのAI Pinは、スマートフォンを不要にすることを目指したAI搭載のウェアラブルデバイスです。音声操作やジェスチャーで操作でき、ユーザーの音声を認識して質問に答えたり、翻訳したり、スマート通知を提供します。ディスプレイはなく、レーザープロジェクターを使って手のひらなどに情報を投影するのが特徴です。

海外では発売前にかなりバズってたのですが、発売されると、、、
「スマホよりも操作が遅く、できることが限られている」
「音声操作がメインなので、周囲に人がいると使いづらい」
「フル充電でも約2〜3時間しか持たない」
「本体価格が約700ドル(約10万円)、月額サブスクが24ドルでコスパが悪い」
「この値段ならスマホやスマートウォッチの方がいい」
など、散々な言われそうでした。。

あと、⑧でさらっと触れているのですが、OpenAIのサービス占有率は60%だということで、Gemini、Grok、Claude、、、など色んな生成AIチャットツールがあるなか、これだけの占有率がとれる=先行者メリットってこんなにもあるのか・・・と改めて驚いています。

最後に⑩のAI安全規制から緩和へのシフト、というのは、最近の世の中の流れそのものかなと思っていて、SDGS/ESGなんかより、利益を優先しましょう。みたいな、一種の恐怖を感じている今日この頃です。

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