① LLMのコモディティ化が進む可能性について (Large Language Modelの価値低下の予測)
2025年1月31日
大規模言語モデル(LLM)が2025年にはコモディティ化(汎用品化)するとの見方が出ています。中国企業の公開モデル「DeepSeek-R1」が高性能かつ低コストで登場し、従来の高価なAIモデルの優位性が揺らぎました。この動きにより、AIエージェント(自律的に行動するAI)へのシフトが進み、AI分野の競争構図が大きく変わる可能性があります。
② Meta、「危険すぎるAI」は開発中止も示唆
Facebookの親会社Metaは、新たなAI方針文書で、リスクが高すぎるAIシステムの開発を停止する可能性があると表明しました。たとえばサイバー攻撃や生物兵器に悪用され得る「高リスク」や「クリティカルリスク」なAIについて、結果が壊滅的になりうる場合は公開を見送る姿勢です。これは「人間と同等に何でもこなせるAI(AGI)」を将来オープンにすると語っていたマーク・ザッカーバーグCEOの発言に対し、安全面で一線を画す内容となっています。
③ ソフトバンクとOpenAIが日本で提携、孫氏「AGIは想定より早く実現」
ソフトバンクとOpenAIは、日本企業向けに高度なAIソリューションを提供する合弁会社「SB OpenAI Japan」の設立を発表しました。ソフトバンクは毎年30億ドル(約4,500億円)規模を投じてOpenAIの技術をグループ各社に導入する計画です。孫正義CEOは発表イベントで「人工汎用知能(AGI)の実現は当初予想よりずっと早い」と述べ、この提携によって日本企業の業務自動化を一層加速させる考えを示しました。
④ 米カリフォルニア州、子ども向けAIチャットボットに「これは人間ではない」と通知義務づけ提案
米カリフォルニア州で、新たな法案(SB 243)が提出され、AIチャットボットが子どもに対して自分は人間ではないと定期的に知らせるよう企業に義務づけることが検討されています。また、この法案ではチャットボットが未成年のユーザーの自殺念慮を検知した場合に州当局へ報告することも求めています。提案者のスティーブ・パディーヤ上院議員は「子どもたちが企業の実験台にされないよう守る必要がある」と述べ、子どものメンタルヘルス保護を目的とした措置だと強調しています。
https://www.theverge.com/news/605728/california-chatbot-bill-child-safety
⑤ Google、AI倫理原則から兵器・監視への不使用誓約を削除
Googleは社内の「AI原則」を更新し、これまで掲げていた「AIを兵器や違法な監視目的には利用しない」という誓約を削除しました。以前の原則では、人に危害を加える兵器や不当な監視へのAI技術利用を行わないと明記していましたが、その文言が消えた形です。Google傘下のDeepMindのデミス・ハサビスCEOはブログで「世界的なAI競争が激化する中、民主主義国家が主導すべきだ」と述べており、政府や軍へのAI提供も視野に入れた現実路線への転換がうかがえます。
⑥ ハリウッド、大手スタジオがOpenAIの映像AI「Sora」に難色
OpenAIが開発したテキストから映像を生成するAIツール「Sora」を巡り、ハリウッドの大手映画スタジオとの提携交渉が難航しています。ウォルト・ディズニーやワーナー・ブラザースなどと数ヶ月にわたり協議していますが、スタジオ側は自社の映像データの扱いや労働組合への影響に慎重で、まだ合意には至っていません。2023年のハリウッド脚本家・俳優組合のストライキでもAI活用への警戒感が示されたばかりで、映画業界は生成AIの商用利用に慎重な姿勢を崩していません。
⑦ AIが画期的な超軽量高強度素材を設計
トロント大学とカルテックの研究チームが、AIを使って「発泡スチロール並みに軽く、鋼鉄のように強い」新素材を設計しました。AIが従来にないナノ構造を予測し、実際に3Dプリントしたところ、これまで最強だった設計より2倍の強度、チタンの5倍の強度を持つナノラティス材料が実現しました。航空機の部品をこの素材に置き換えると、大幅な軽量化で燃料消費を削減できる可能性があり、今後さらに軽く強い材料開発が期待されています。
⑧ Amazon、対話型AI搭載の新Alexaを発表へ
Amazonは長らく開発を進めていたAlexa音声アシスタントの大規模言語モデル(生成AI)搭載アップグレード版を、2月下旬に披露する見通しです。この新Alexaはユーザーの複数の問いかけに連続して応答し、場合によってはユーザーに代わって自律的にタスクを実行する「エージェント」のような機能も備える予定です。音声アシスタント市場で再飛躍を狙うAmazonにとって、このアップデートは約10年ぶりの大型刷新であり、数億台規模で普及したAlexaデバイスの活用価値向上と収益化が期待されています。
⑨ AIで蘇ったビートルズの新曲、グラミー賞受賞
故ジョン・レノンさんの肉声をAIで蘇らせて制作されたビートルズの新曲「Now and Then」が、第67回グラミー賞で最優秀ロックパフォーマンス賞を受賞しました。この曲はAI技術で過去のデモ音源からボーカルを抽出して完成されたもので、AIによる音楽制作が権威ある音楽賞に認められた初めてのケースとなりました。音楽業界ではAI活用への議論が続いていますが、この受賞はAI技術が適切に用いられれば文化的価値を生み出せることを示した例とも言えます。
https://www.theverge.com/news/604970/beatles-ai-restored-song-now-and-then-grammy-win
⑩ Amazon、2025年のAI関連投資を1,000億ドルに拡大へ
Amazonは2025年の設備投資額を1,000億ドル(約13兆5千億円)規模に引き上げる計画を明らかにしました。この巨額投資の大部分はクラウド事業(AWS)のAIインフラ拡充に充てられ、前年(750億ドル)から大幅に増額されます。アンディ・ジャシーCEOは「AIはインターネット以来の大きな技術変革であり、中長期的に見ればこの積極投資は顧客や株主にも利益をもたらす」と述べ、先行投資によって増大するAI需要に応える考えを示しました。