米NVIDIA社は現地時間2025年1月6日、CES 2025で新アーキテクチャ「Blackwell」を採用した次世代GPU「GeForce RTX 50シリーズ」を発表しました。主なポイントは以下の通りです。
- 飛躍的な性能向上: 最上位モデル「RTX 5090」はトランジスタ数920億個を搭載し、前世代最強GPU RTX 4090比で最大2倍の性能を実現するとされています。
- 実際、ミドルクラスの「RTX 5070」(549ドル)でもRTX 4090(約1,599ドル)に匹敵する性能をうたっており、約1/3の価格で同等性能が得られるといいます。
- AIとニューラルレンダリング: 新GPUは第5世代Tensorコアと第4世代RTコアを備え、AI駆動のレンダリングで画質と速度を飛躍的に高めます。例えば新機能DLSS 4では、AIによるマルチフレーム生成によりレンダリング1フレームあたり最大3つの追加フレームを生成し、従来レンダリング比で最大8倍のフレームレート向上を実現します。さらにTransformer(変換器)モデルを使ったレイトレーシング強化により、ゴースト低減や高精細化など画質も向上します。
- 新技術と機能: RTXニューロシェーダー(Neural Shaders)によってシェーダー処理に小規模なAIネットワークを組み込み、映画品質のマテリアル表現やライティングをリアルタイムゲームで可能にします。RTXニューロフェイス技術やRTXメガジオメトリにより、デジタルヒューマン(ゲームキャラクターの顔や髪など)のリアルさも大幅に向上します。またNVIDIA Reflex 2では「フレームワープ」という手法で入力遅延を最大75%削減し、より応答性の高いゲームプレイを実現します。
- AI活用強化: RTX 50シリーズはFP4(4ビット浮動小数点)精度をサポートする初のコンシューマーGPUであり、これにより画像生成AI「FLUX」などの性能が2倍に向上、従来はデータセンター向けだった高度な生成AIモデルをローカルPC上で動作可能にします。実際、75以上のゲーム・アプリが発売日からDLSS 4など新技術に対応予定で、PC上で高度なAI処理が即利用できる体制が整っています。
まとめ
GeForce RTX 50シリーズの登場は、グラフィックスとAIの融合による大きなパラダイムシフトと言えます。従来の延長線上に留まらない性能向上(ミドルレンジでも前世代ハイエンド級の性能)と、AIを随所に活用した新機能群は、ゲームや映像の世界だけでなく幅広い業務領域に変化をもたらすでしょう。中小企業にとっては、これまで高コストだった高度なAI・GPU活用が現実的な選択肢となり、業務効率の向上や新たなビジネス機会の創出につながることが期待されます。例えば、自社の商品デザインを迅速に生成AIでブラッシュアップしたり、社内向けのAIアシスタントを導入して日常業務を自動化したりといった取り組みが、より容易に試せる環境が整っていくでしょう。今回のNVIDIA公式ニュースに示された技術進歩は、今後数年のビジネスシーンにも影響を与える重要トレンドであり、中小企業経営者にとっても見逃せないニュースと言えます。
参考:https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-blackwell-geforce-rtx-50-series-opens-new-world-of-ai-computer-graphics