AIの歴史(中編):コンピュータ技術の発展とAIの進化

atmaLab編集者
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August 19, 2024
AIの歴史(中編):コンピュータ技術の発展とAIの進化
Image created with AI and Canva

前編でAIの基本ができた後、1950年代から1960年代にかけて、コンピュータ技術が大きく進歩しました。この中編では、その時代のAIの進化について見ていきます。AIの理論が現実の技術としてどのように応用されていったのかを理解することができます。

1. コンピュータの進化

1950年代後半、ENIACやUNIVACという初期のコンピュータが登場し、計算のスピードが非常に速くなりました。ENIACは、世界初の汎用電子計算機として1945年に完成し、科学計算や弾道計算などに使用されました。UNIVACは1951年に開発され、商業的にも成功を収めました。これらのコンピュータは、大量のデータを高速で処理できるようになり、AI研究に大きな力を与えました。

ENIAC-changing a tube

これにより、AI研究者たちは、より複雑なアルゴリズムを実験し、データ処理を行うことが可能になりました。計算速度が大幅に向上したことで、以前は不可能だった大量のデータ処理や複雑なシミュレーションが可能になり、AIの研究が大きく前進しました。

2. ゲームAIと探索アルゴリズムの研究

コンピュータの計算能力の向上に伴い、AIの初期の応用として、チェスやチェッカーのようなゲームにおける探索アルゴリズム(答えを見つけるために色々な選択肢を試す方法)の研究が進みました。1950年、クロード・シャノンという科学者がチェスのプログラムを提案し、これがコンピュータが戦略的思考を行う最初の試みとなりました。シャノンは、チェスのプレイにおいて、盤上の状況を評価し、次の一手を決定するためのアルゴリズムを考案しました。この研究は、コンピュータが論理的な推論を行うための基礎を築きました。

1951年には、アラン・チューリングがチェスをプレイするプログラムを開発し、コンピュータによるゲームプレイの可能性を示しました。チューリングのプログラムは、チェスの基本的なルールに従い、次の手を選択することで、コンピュータが知的な対話や意思決定を行う可能性を示しました。これらの研究は、AIが意思決定や戦略的思考を模倣するための基礎を築きました。

3. 機械学習とエキスパートシステムの登場

1959年、アーサー・サミュエルという科学者が「機械学習」という言葉を初めて使いました。彼の研究は、チェッカーゲームを通じてプログラムが経験から学習し、自己改善する能力を持つことを示しました。サミュエルの機械学習の概念は、AIが単にプログラムされたルールに従うだけでなく、自ら学習し、進化する可能性を示したものでした。この機械学習の概念は、後にディープラーニングなどの高度なAI技術の基礎となりました。

1960年代には、エキスパートシステムと呼ばれる知識ベースのAIシステムが登場しました。これらのシステムは、特定の知識領域に特化し、専門家のように問題を解決することを目的としていました。エキスパートシステムは、専門知識を持つ人間の判断を模倣するためのものであり、DENDRAL(化学分野のプログラム)やMYCIN(医学分野のプログラム)はその成功例として広く知られています。DENDRALは、化学構造の推定を行うシステムであり、MYCINは感染症の診断と治療に利用されました。

DENDRALの写真 参照元:https://www.klondike.ai/en/ai-history-the-1980s-and-expert-systems/

エキスパートシステムは、当時のコンピュータ技術で実用的なAIアプリケーションを提供できる数少ない手段の一つでした。これらのシステムは、特定のタスクに対して高い精度で動作することができ、AIの応用可能性を広げました。しかし、エキスパートシステムは膨大な知識の手動入力が必要であり、その限界が次第に明らかになっていきました。

4. AIの応用と初期の挑戦

AI技術は、ゲームやエキスパートシステムを超えて、さまざまな分野で応用され始めました。例えば、初期のロボティクス(ロボットを設計・製作・操作する技術)において、AIは自律的な動作を可能にするために使用されました。また、自然言語処理の分野でも、AIを活用してテキストの理解や生成を行う試みが行われました。しかし、これらの初期の挑戦には多くの技術的な課題がありました。

AIが複雑な問題を解決するためには、膨大な計算能力とデータが必要であり、当時の技術では限界がありました。その結果、AIは期待されたほどの成果を上げられず、研究者たちは新しい方法を模索することを余儀なくされました。それでも、この時期の研究は、後のAIの進化にとって重要な基礎を築きました。

まとめ(中編)

中編では、コンピュータ技術の進展がAIの発展に与えた影響を見てきました。AIが初めて実際の応用に使われたこの時期、ゲームAIや機械学習、エキスパートシステムなど、さまざまな試みが行われました。これらの技術は、AIが特定の知識領域で実用的なツールとして活用される道を開きました。また、AIの初期の応用は、限界と課題も明らかにしましたが、それでも未来のAI技術に向けた基盤を築く重要な時期であったと言えます。

(Written with ChatGPT)

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